毎日ボーナスタイム vol.2<みうらかな> 十六歳、冬休みのこと。自分の中のあまのじゃくがずっとストップをかけていた「あの頃を思い出す」という作業を、せっかくだからこのコラムを通して実行してみようと思う。七年も前のことだなんて未だに信じられないのだけれど、たしかにあの時、東日本大震災の時、私は福島県いわき市の高校一年生だった。幼いころから絵を描くことやものづくりが好きで、必然的に高校も芸術に特化しているところを選んだ。将来は美術に携わる仕事につくのだと思っていたし、それ以外の未来は想像できなかったと思う。 単位制の学校だったので時間割は自分で組み、国語と数学と英語以外はすべて実用的な、というか、頭を使わなくてもいいものばかりを選んだ( 服を作ったり着付けをしたりダンスを踊っ...28Feb2018vol.2毎日ボーナスタイム
なつたろうの思い出 vol.2<藤岡なつゆ>「先生の年賀状」 私は手紙を書くのが好きだ。その前に文字を書くのが好きだ。私は模倣が上手いらしい。小学一年生で初めて字を習う時、ドリルに印刷されてる綺麗な字を見ながら、隣の空欄に真似をするように書いていく。勉強としては初めて字を書くはずなのに、なんだがとても上手くできた。先生もすごく褒めてくれた(小学一年の担任は板谷先生。確か当時二十七歳。肌が白くて目も髪も茶色くて綺麗な女性だった。今はもう名字が変わったかな。コンタクトユーザーだったからか、目がすぐ赤くなって、うさぎ先生と呼ばれていたこともあった。←そんなに流行らなかった。そして字がものすごく綺麗だった)。単純な私はいい気になって「自分は字が上手い」と思い込んで、小学校に止まらず今...21Feb2018vol.2なつたろうの思い出話
雑念エンタテイメント vol.2<もーにんぐしー>「君のエンタテイメントは何。」 本コラムのタイトルは言わずもがな皆さまご存知RIP SLYME の2001年に発売されたセカンドシングルのタイトルである。重ねて言わずもがな私が一番好きな音楽はRIP SLYME。小学五年生の頃から、この回答がブレていないのは自分でも驚きだけど、今後もずっとこのままだと思う。 思い返せば小中学生の頃、完全に人生に絶望していた。今思えば思春期のソレでしょ、という事もあるけどあの頃は正直しんどかった。学校もみんなも嫌いで、誰の言う事も全然面白くなくて。 TSUTAYA で借りるCD と習い事だけが好きだった。そんな私の人生に突然彼らが現れたのだ。何の気なしに見ていたMステに、踊りともとれない動き...14Feb2018雑念エンタテイメントvol.2
イケず旅暮らし vol.2<村上大輔> 醤油かソースか、キノコかタケノコか…とかく人というものは争いの絶えない生き物である。 先日店のスタッフが「まかないをコロッケにします」と言い出した。「そんなものはやめろ!」、僕が反対したことによったまたひとつの争いが生まれてしまった。コロッケはご飯のおかずになるか否か、そんなことで三十路過ぎの男とアラサー女、さらには四十路を迎えた男までも巻き込んだ論争が始まってしまったのだった。争いは「誰もコロッケ丼は食べない(提案したスタッフすら)」という結論のもと、無事却下となり結末を迎えた。 コロッケは値段こそ安いが、いざ作るとなるとなかなか手間のかかるものである。玉ねぎをみじん切りにしてひき肉と共に炒め、じゃが芋をふかして潰して混ぜる、...14Feb2018vol.2イケず旅暮らし
上沼優二郎(FOOLA)の 感受性、応答セヨ! vol.2<上沼優二郎> アレは二〇〇二年十二月三十一日のことだ。当時のワタシは東京は東村山の八坂にあるあら川」という焼肉店で働いていた。そのお店は歴史も長く、地元の人の人気も高い上に度々雑誌にも紹介されたりで金土日は予約しないとかなり難しいくらい忙しかった。 だけどワタシが入ってすぐに社員が二人辞め、一年後くらいにはまた一人辞め。全てが手作りだったその店は、仕込みの量も半端じゃないのだ。それを店長が一人でやっていて見かねて、「教えてくれよ!手伝うよ!」何て言っちゃったもんだから色々やるようになって、定休日以外は出勤だった。それまで料理なんてした事が無かったので楽しくて仕方が無かったのでそれはいいんだけど。 終わるのも23時くらいだったので休みの日以外はお...07Feb2018vol.2上沼優二郎(FOOLA)の 感受性、応答セヨ!
散歩する、素晴らしき哉、おいしい生活 vol.2<umihayato> うたたね、うつくしいもの。 この曲を初めて聴いたのはいつだろう。 横浜の地下のライブハウスだろうか。それより前のあの無人島でのフェスの時だろうか。笹塚の小さいお店でだろうか。初めて聴いた記憶が曖昧になる程、自分の中に初めからあるような曲だった。それでいて新鮮で、なにかを思い出させてくれるような曲だった。それがみんなが薄々感じているであろうこの曲の魅力だと思う。 カメラを持っていない時にしっかりライブを見た時にこの曲を聴いて「これでMVを作ろう」と、はっきり言ったと思う。その時期、長年入退院を繰り返す祖父がもうそろそろという時だった。イントロを聴いた時に、いつの記憶だかわからないが、夕日がさす祖母の部屋のベッドの上に二人が座りながら...07Feb2018vol.2散歩する、素晴らしき哉、おいしい生活