ABOUT

起きたら部屋には奇妙な果物が散乱していた。
そう、昨日は友達と集まって飲んでいたのだった。
飲むと気が大きくなるのってなんで?

百円ローソンで1万円使ったの覚えてるし、無駄に虫取り網とかあるし、
花火もあるし、なんなら俺の足元でスイカが潰れてる。

冒頭で触れた奇妙な果物について。
なんか今思い返すと夢のような気がしないでもないが、
確かに昨日百円ローソンに山積みになっていたのだ。
とても身近には感じられない赤紫と黄色のマーブル、
ただれたみたいについてるびらびら。

もの珍しさに大量に買ったのだった。みんなで「なんだこれー」とか笑いながら。
皮を向くと予想に反して白くて、ごまみたいな粒々があって、
食べてみるとこれまた案外味が薄い。

てっきり見た目から酸味が強いものと思っていたのに。

これにはみんな肩を落として、すっかり興味をなくして、

食べられることなく部屋のあちこちに散乱するハメになったのだった。

さて、この果物の名前はドラゴンフルーツという。
ここで重要なのは名前でもなく、味でもない。
少なくとも、このわけのわからないものが
なんらかの偶然で大量に百円ローソンに置かれ、我々が面白がって購入し、

こうして今振り返って記憶に残っていることに価値を感じないだろうか?・・・

そうでもない?

とにかく人生は偶然の連続で成り立っていて、
それを人は奇跡というのかもしれないが、
そんな大げさにいわなくたってほんの少しの偶然が少しだけ毎日を楽しくしたりする。


文:DRAGON FRUIT主催 小野雄大