皆さんは異性に一目惚れをしたコトはあるだろうか？
ワタシは二度あります。
一回目は中学一年生の入学式の日、二回目は三〇歳を越えた八年前だ。
数々の恋を経てこんなことがまだ起きるのかとびっくりしたのを憶えている。
かわいいなとか今夜なんとかお持ち帰りしたいとかそんなんじゃない。
ビビビッと来たって言ったのは松田聖子だっけ？
本当にそんな感じで、一瞬で骨抜きになるっていうか。
細胞が抗えない感じ。
話した事もないしどんな人かも分からないのに。
しかし当時のワタシは彼女がいた。
が、もう気になって気になってしょうがない。
顔も声も話し方も立ち振る舞いも完璧。
だけど彼女の事を考え、その日は何回か軽く話しただけで別れた。
連絡先も聞かなかった。
それから毎日その娘の事ばっかり考えていた。
でももう会えない。
どうしようもないし、どうにもしないつもりだった。
切ない気持ちでいっぱいだった。
ちょうど同じタイミングでオーストラリアのパワーポップバンド、
The Wellingtons が新しいアルバムを出していて。
そのアルバムが思わず走り出したくなっちゃうような
楽しい曲から切ないバラードまで入っていて
当時の心境とリンクし過ぎて毎日聴いていた。
その年の九月にジャパンツアーがあって当然観に行った。
行く前に下北沢の天手毬で友達と待ち合わせて
そこで紹興酒やなんかを飲んで程よく酔って彼らのライブを観た。
グッドメロディーと男女混声のハーモニーはやっぱり最高で
そこでもウィスキーを五、六杯。
ライブ終了後はDJタイムでメンバーもフロアで楽しんでいたので
思い切って話しかけて写真も撮ったり身体にサインを書いてもらったり
その後も飲み続けまた天手毬に行き担々麺と紹興酒。
気が付いたら翌朝キノトの事務所の椅子で目を覚ました。
まるでジェットコースターみたいな一日で
ここ数年で一番楽しかったかもしれない。
そのThe Wellingtons が四年ぶりにジャパンツアーを去年したのだけど、
ツアー初日がなんとキノトだったんです。
来日情報をキャッチしてすぐに招聘元のTHISTIME に連絡して( 面識無し)
どれくらい彼らを好きか熱弁し、やってくれる事になった。
一昨年のスウェーデンのLast Days Of April もそうだったけど、
20代の頃に大好きで聴いていた海外のバンドと共演したり
キノトに出演してくれるなんてその頃の自分に言っても信じられないだろうな。
The Wellingtonsを聴くとどうしてもあの夏を思い出しちゃうし、
あの女の子を思い出して甘酸っぱい気持ちになる。
ちなみにその女の子とは数ヶ月後にたまたま会って連絡先を交換し、
当時の彼女と別れた後にいい関係になりました。まいったか。
文：上沼優二郎
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