はじめてのライブハウス ナムカワ編

ライブハウスと私

 初めてのライブハウス。おそらく高校一年生の時、先輩に誘われて行ったthe band apartのライブが最初だと思う。場所はZepp Tokyo(今のZeppDiverCity) だった。扉を開けたときの、日常から切り離されたような独特の空気感を覚えている。始めのうちはその空気感に馴染めずにポカーンと棒立ちで見ていたが、次第に演奏に引き込まれるようにステージに近づいていき、Eric.W のイントロが始まると見よう見まねで手を挙げたりジャンプしたりしていた。その後、頻繁にライブハウスに通う高校生活を送ることになる。その頃観たライブ、出会った音楽は今でも記憶に残るものが多く、現在に至るまでの私に強い影響を及ぼしているが、ここでは語り尽くせないので割愛する。

 高校卒業後、私自身もライブハウスに出演するようになったが、初めて出演したライブハウスは、観に行っていた時とは違って怖いところという印象が強かった。スタッフも対バンもなんだか怖い。なんならお客さんも怖く見える。そしてバッチリ緊張しまくって演奏を終え、出会った人たちとも萎縮しまくってあまり喋れずにライブの日を終えていた。その後もしばらくはそんな状態が続いた。

 ただ、そんな中でもときには話しかけてくれる人や褒めてくれる人がいて、すごく嬉しかった。そういった人たちに他のライブハウスでバッタリ会ったりして仲良くなって、次第に知り合いが増えていった。この頃にはステージに立ってもそれほど緊張しなくなってきていて、出演者としてもライブハウスを楽しめるようになっていた。ここまで三年くらいかかったと思う。

 その後、日本各地のライブハウスで演奏する機会に恵まれ、多くのライブハウスや音楽と出会うようになった。その土地の音楽や人との出会いはもちろん、街歩きをしたり渋い喫茶店を探したり名物を食べたりするのも、楽しみの一つになっている。うどん、牛タン、ジンギスカン、寿司、牡蠣、ラーメン、松阪牛、うどん。ライブハウスに感謝だ。何の話だっけ。

 とにかく、私にとってのライブハウスは、新しい音楽と人とに出会える場所、そしてその場所特有の文化に触れる機会を与えてくれる、そんな場所になった。その全ては、あの高校一年生のライブハウスから始まっている。


▼suey( スイ)
ナムカワ、菅原が所属していたバンド。なつゆさんが所属していたcinq とスプリットをリリースしている。

DRAGON FRUIT

シンガーソングライター小野雄大が企画するZINE「DRAGON FRUIT」のホームページ。